琉球びんがたができるまで

「琉球びんがた」の職人の仕事は、制作に使用する道具を作ることから始まる。図案から仕上げの水洗まで、18を超えるその制作過程すべての工程を主に一つの工房で行う。一枚型の型紙で連続的に型附けをするのが特徴の一つであり、顔料と天然染料の併用による彩色の手法も類例の稀なものである。

型彫り(カタフイ)

型彫り(カタフイ)の参考写真

「琉球びんがた」の型彫りには突彫りの技法が用いられる。型紙には「白地型」と「染地型」の2種類がある。「白地型」は地を彫り落とし模様を残す方法で、「染地型」は逆に地を残し、模様の部分を彫っていく方法である。細かい模様の部分から彫り始め、彫り上がった型紙は紗張りをする。

主に手作りする道具:小刀(シーク)とルクジュー(沖縄独特なもので、木綿豆腐を圧縮、乾燥したもの。適度な固さと復元力があり今日でも大変重宝されている)

型附け(カタチキ)

型附け(カタチキ)の参考写真

型附けには防染糊が用いられる。型紙は一枚型を用い、布面に型紙を置いてその上から防染糊をヘラでしごく方法を型附けという。型紙の彫り落とされた部分に糊が施され、生地に文様が型附けされる。仕上がりを左右する大変重要な工程。

主に手作りする道具:防染糊(糯米と糠を混合して作る。型附けに用いる場合、糯米4:糠6の割合を目安に、染める生地の素材によって配合を調整する。防腐と防染効果を高めるために消石灰を入れ、型附け後の糊の亀裂防止のために塩を加える)

色差し(イルジヤシ)

色差し(イルジヤシ)の参考写真

色を差すことを「イルクベー(色配り)」といい、「琉球びんがた」の美しさはこのイルクベーにあると言われている。顔料と天然染料による彩色の技法も「琉球びんがた」独自のものである。色差しの順序には決まりがあり、朱など赤系統の暖色系から差し、次第に寒色系を差していく。

主に手作りする道具:固着剤(古来から豆汁が使われてきた。ペースト状に練り上げて粒子を細かくした顔料と混ぜ合わせて色を作る)

隈取り(クマドウイ)

隈取り(クマドウイ)の参考写真

色差し、刷り込みの後の文様の部分にぼかし染を施す「琉球びんがた」独特の技法。色差し筆と隈取り筆の2本で行う。色差しの色によって隈取りする色に決まりがあり、例外的な色の使われ方は極めて稀である。隈取りでは立体感や遠近感、透明感を出す効果が得られ、色の補強の効果もある。

糊伏せ

糊伏せの参考写真

地染めを行う前に文様の上に防染糊を伏せる方法で「ビンウシー(紅押さえ)」という。文様の色の防染だけではなく、生地の白場や文様の白場を効果的に出すための役割を果たす。

地染め

地染めの参考写真

「琉球びんがた」本来の地染めは、顔料、染料による刷毛引きの手法で、藍染めの場合藍壺に浸ける。地色には黄色地、葡萄地、緋色地、金黄、紺地、水色地など色々あるが、中でも黄色地は植物性染料の福木の樹皮から取れる染料で染められ、王朝時代には一番位の高い色とされ、高貴な人々の衣装の地染めに用いられた。

水洗

水洗の参考写真

生地に施した防染糊や余分な染料、顔料、薬剤などを洗い落とす作業。水槽いっぱいに張った水の中で軽くたたみ込むようにしながら、布が水面に浮かび上がらないように操作する。一定時間水に浸すと自然に糊が柔らかくなり、布から遊離する。生地に糊分が残らないように何度も水をかえて水洗を行うのだが、その際には丹精を込めて作り上げてきた生地が折れたり、擦れがおきたりしないように十分に注意する必要がある。ものによってはこの後さらに型附けや糊伏せの工程が続く。

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